何でも書くブログ(仮)

緘黙当事者の何でも書くブログ

人が怖いわけではない

緘黙や社会不安のある人がネット上などでも度々「人が怖い」と表現しているのを見かけるが、私はそれに違和感がある。

 

「人が怖い」の内訳は?

人が単純に怖いわけではないと思う。

強いて言うなら、人にどう思われているのか?人にどう思われるのか?が怖いということになりそう。

 

普通の病的な不安がない人からしたら、人は別に何も思っていないとか、否定的な感想を持ったりもしない、と思って、「そんなことないよー」などと励ましたりもしてくるわけだ。

確かにそんなことはないのかもしれない。

 

でも、こちらからしたら否定的な感想じゃなくても怖い。

向こうはよかれと思って褒めてくれたりもするわけだけど、それすら抵抗がある。

普通の人間でもあるので、単純に嬉しいというのももちろんあるにはあるんだけど、そんなことより「その部分」に一瞬でも注目されたのか…という事実が嫌だ…などと感じてしまう。

(自分でもマジで面倒くさいと思う)

 

緘黙の人のあるある心理状態に「今まで喋ってなかったから急に喋り出したら変に思われそうで、もう喋らない人と一度思われたら喋れない」というくそ面倒くさいのがある。

私はこの心理が強いほうだと自覚があるが、私だけではなくて他の緘黙の人でもこれに共感してくれる人は結構多い印象なので、これはもしかしたら緘黙特有のものなのでは?などと考えている。

 

緘黙でも中学や高校入学を機に少しずつ喋れるようになったという人も結構見かける。(ネット上で)

でも、私は高校の頃までそうはならなかった。

それはなぜか?

たぶん、単純に最初は緊張や不安が人より強いせいで、声も感情も出しにくい。

それで人に話しかけられても上手く返すどころか一言くらいしか返せず…相手に何だこいつ?みたいなことをおそらく思われてしまって、ああ終わったな…とここでもう全部諦めてしまう。

その環境でもこれを続けるしかないのだ、となぜか自分の中でそれしか選択肢がないみたいになってしまう。(それと同時にもう無理して普通に喋らなくてもいいことに安心してしまうという悪循環までがセット)

 

昔は緘黙のことを自分でも知らなかったので、文字でもそういうことを誰にも伝えることもできないし、そもそも、そういう心理状態に陥ってしまい、緊張や不安が人より強いので普通に振る舞えなくて自分でも辛いのです…などということを誰にも伝えられない。自分の中で留めるしかない。今、文字にしただけでも分かる人には分かると思いますが、何という生き地獄でしょうか?

私が私じゃない人間だったら、とっくの昔にもっと発狂しててもおかしくないですよ。

私だからなんとか平静を装って、そこまでメンタルも崩壊せずに来てますけど。

 

家族や一部の人とは普通に喋れたりもするので、自分でも元は普通やし…と思い、この問題をなるべく顕在意識に上がってこないように無意識にしてる気もします。

親や周りも「普通だよ」などと励ましてくるので、「そうだよねー」などと、ついつい思ってしまいがちですが、社会的な場面(主に学校や職場など)では、どう考えても普通ではないという現実。

 

普通の人見知りの人はその環境に慣れたら喋れるようになりますよね?

緘黙の人の場合、そうならないことも多い(どころか、最初のほうがまだマシだったのにどんどん喋れなくなったりもします)。

 

当然、周りは「何で?」と思って、違和感を覚えますよね。

それもそれで辛い。

普通ではないことが徐々にバレるのが。

 

普通に喋れたりするのなら、最初からそうしてます。できないから辛い。

その能力がそもそも備わっていないなら誰も何も言いませんが、「声が出ないわけではないのだから普通になれる、克服できる、普通に喋ったほうがいいよ~」などと言われる。

頭では理解できる。こちらもバカでもないし、もう子供でもない。普通の大人の脳ミソを持っているので、そう言われるのも当然だし、緘黙などという意味分からん心理を経験したことがない人にすんなり理解されるわけがない。

頭では分かる。でも、できないから辛い。これの繰り返し。

 

自分比では昔は本当に一言も喋れなかったので、返事も挨拶すら全くできなかった頃に比べたらだいぶ成長したなぁ、などと思っているわけですが、大人になってからの私としか会ったことがない人からしたら「少しずつ克服していきましょう」とか言われる。

悪意どころか善意なんだと分かるから余計複雑。

 

まさか挨拶や返事すら出来ず、それどころかトイレに行けなかったり、給食が食べられなかったり…美容院や歯医者にも行けない、バイトなんて応募すら出来なかった、就職なんて絶対に出来ないと思って就職活動すらしなかったし出来なかった、そんな過去があるだなんて想像すら出来ないのかもしれない。

 

これでもかなりマシになったほうなんです…と言っても信じてもらえないかも。

 

私なんかまだマシなほうで、世の中には全緘黙で引きこもりを余儀なくされている人もたくさんいるそうです。

 

外に出て働いてるだけでもかなり頑張ってるほうだと思う。

普通に喋れるなら、もっと色々やりたいこともあったけど、無理そうなことが多くて、色々諦めてる。

 

人は「もったいない」とか言うけど、私はそれもそれで仕方ないことだと冷静に受け止めてるので全然もったいなくはないこともないけど、まあ、別にいいんです。しょうがないんで。

 

今はネットもあるし、数は少ないかもしれないけど、普通に喋れる人もいるにはいるから。

それでも、ある程度普通に喋れたほうがいいに決まってますけど、それが簡単じゃないから難しいという話。